先日、能のPRデザインについてお話しましたが、素晴らしい伝統を受け継いで次代に伝えていくと同時に、海外にも広く発信するためのデザインも手がけています。
金剛流能楽師 宇高通成氏の欧州公演のPRツールと能面展の図録は、「能」を知らない海外の人々に、世界文化遺産である伝統芸能としてのイメージを、デザインを通じて伝えるという大いなるチャレンジでした。
何れも背景は「黒」。能の重厚なイメージ、霊界や冥界と現世とを行き交い、その奥に闇を孕んでいるような世界観を表現するのに、最もふさわしい色です。
同じ伝統的な舞台芸能でありながら、華やかなエンターテイメント「歌舞伎」に対し、「能」の幽玄な趣を醸し出せるよう、公演のポスターやフライヤーは、モノクロームをメインにデザインしました。
能面展図録は、白を背景に、美術品としての能面を並べた写真集的な図録とは一線を画した仕上がりに。黒を背景とした能面は、単なる彫刻ではなく、漆黒の闇から浮かび上がるかのように、登場人物の「顔」としての存在感を放っています。
また、この能面展図録については、アートディレクションとともに、内容の編集・構成も担当しました。
海外の人々に、と同時に、日本の人々に向けて...残念なことに、「能」に親しむ機会が少なくなり、日本が誇る優れた伝統芸能でありながら、難解なものとして敬遠されがちなのが現状です。
「能」の素晴らしさを多くの方々に理解していただけるように、その精神性やストーリー性に着目し、テイストの内容や全体の構成をディレクションしました。
東洋と西洋、双方の視点を持つエクスプリムの強みが発揮されたプロジェクトです。
図録という枠を超え、「能」そのものを伝えられる一冊として、ぜひご覧いただきたい自信作となりました。



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