2011年2月25日 調べ(7):演奏か奉納?

奉納=神仏を楽しませ鎮めるため、供物を供えたり、その前で芸能・競技などを演じたりする。「神楽を奉納する」
:たいまつる/たてまつる/たつ:献上する、ささげる、さしあげる、敬う謙譲表現】

:おさまり:乱れや騒ぎが静まること、問題が解決すること、調和】
(これもまた、どうフランス語に翻訳するか悩みのタネです。)

エンターテイメント色の強い「演奏」より、奉納というと宗教的な固いイメージが最初に浮かびますが、鎮める(しづめる)だけじゃなく楽しませるという意味も含まれています。
そもそも日本の打楽器の原点は天照大神(アマテラス)を洞窟から引っ張り出すために、セクシーダンスを舞う女神が裏返した船の上で踊った時の音だと古来から伝わる日本の神話にあるとは私のイメージです。この面白いキャラクター天鈿女神(アメノウズメノカミ)は、後に道案内の神様猿田彦神と結婚し、その子孫、猿女一族・猿女君は、宮廷祭祀に神楽を舞う役目となり、神々を喜ばせて関心を引き踊りを通じて神々の託宣を聞くという呪力を操る女性集団となりました。その踊りは非常に熱狂的かつエロチックで、神に捧げ豊穣を祈願する神懸かりした姿は、神と人との間を媒介する巫女なのでしょう。
捧げる、気を引く、楽しむ、またエロチックな様子がとても日本的なルーツを表現していると思います。
このような伝説は様々な文化にもあり、時には神話として、あるいは宗教の教えになり受け継がれてきています。世界を見渡すと、かなりの歌・音・楽器はそこから生れています。古代では日常生活でも感じられる何かを人が神と呼んで、森羅万象とも言い、その人間を超えた存在との交信の道具として打楽器が使われてきました。古来1000年以上前から鼓も自然と神とコミュニケーションを取るものでした。やがて鼓は大鼓と小鼓に分かれ、それに笛が加わり、謡と舞が組み合わせられる事によって、約600年前「能」が形作られましたという道筋は自然の流れと感じます。それは現代に伝わり、能楽はユネスコ(人類の)の無形文化遺産に認定されています。
大鼓の音を通じて、異次元の彼方から響いてくるようなエコーがあり、別の世界に導かれるような作用があると大倉正之助氏。能舞台もこの世とあの世をさまよう場です。大鼓は楽器というより、そういう役割を担わされている道具とも言います。能楽は精神と肉体の調和を目指し、そして「幸せのために」というのが原点です。
というと、とても神秘的ですが、大倉さんの例えば話はとても分かりやすい:ある人が咲いた草花を見て、きれいだねという歌を詠んであげたら、花の精が出てきてお礼に舞を舞ってくれた。そういう曲があるほど、昔の人たちには、自然と和やかに語り合うゆとりや豊かさがあった。今は、そうしたことを忘れて暮らしているのかもしれません。
我々は古代の起源的・原始的な姿・役割をもう一度よみがえらせるという願いもあり、素朴に素直に大鼓を交流・交信のお道具のひとつとして打つことにしました。
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目次
調べ
調べ(2):バイクお兄さん
調べ(3):考え方
調べ(4):大鼓との出会い
調べ(5):下谷へ・寺でのお稽古
調べ(6):キーワード
調べ(7):演奏か奉納?

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